・この記事でわかること
・相続でまず考えるべきことは何かがわかる
・相続でトラブルを回避する方法がわかる
※税金対策のテクニック等は一切ありません
もう既に自分の親の相続を経験している方、これからの方もいらしゃると思います。また、将来自分の相続が発生もいつかは発生するものです。
大切な家族のあいだで、相続が”争族”になって大きなトラブルになった、なんて悲劇も良く聞く話です。
相続のトラブルを回避し、家族のきずなを強めるようになるためにはどうしたら良いか考えてみました。
相続対策とは
「相続対策」というと、すぐに相続税をどうしたら減らせるかということに目が行きがちです。
ネットの情報を検索しても、「相続税対策」のオンパレードです。
でも、実際の相続で大事なのは税金対策でしょうか?
相続では税金よりもっと大事なことをまず考えるべきではないでしょうか。
・相続税対策と相続対策は違う
相続を考える場合、まず相続税対策ではなく相続そのものを考えるべきでしょう。
最近の統計によると、相続税の課税対象者は約9%、91%の人は相続税と無関係とのことです。
つまり、相続税対策は一部の家庭みが必要なだけで、大多数の人は税金対策など不要なのです。
(ご参考:相続の基礎控除額)
基礎控除額 = 3,000万円+600万円x法定相続人
しかし、相続対策は全ての家庭に必要です。
相続対策がないと、多くはない金額の遺産でも、骨肉の争いになる可能性があるからです。
トラブルは遺産総額の多寡ではなく、相続人相互の気持ちが大きく左右するからです。
・相続における問題点
相続における決定的な問題は、「相続について考えるのが遅い」ということです。
ほとんどの場合が、被相続人が亡くなってから初めて考える、というものですね。
これがトラブルの元になります。
相続人も被相続人も相続のことを具体的に考えておらず、遺言書もないため混沌とします。
相続で揉めるのはだいたい以下の2点。
①遺産配分
まずは相続人間での遺産額の配分の問題です。
父親が無くなって母親が存命の場合はあまり揉めないようです。揉めるのは母親が亡くなった時です。
兄弟間では相続の権利が同等との考えがあって、多い少ないの揉め事になりがちです。
②節税対策
節税の巧拙によってもトラブルになります。
遺産そのものが相続税で減ってしまう、ということで、節税方法のやり方をめぐってこれまたトラブルになりがちです。
遺産相続の決め方のパターン
遺産相続の決め方のパターンは3つあると言われています。
・相続の3パターンについて
1.遺言による相続
被相続人が遺言書により相続を決めるパターンです。
遺言では自身の死後に「誰にどの財産を相続させるか」などさまざまな遺産分割の方法を記すことが可能です。
2.分割協議による相続
遺言が無い場合、相続財産をどう分けるかは共同相続人同士が話し合いで決めることになります。 これが分割協議で、共同相続人が全員加わらなければならないことになっています。
実際には、全員集まる必要はなく、代表者が協議書の案を作って、持ち回りで同意を求めて成立させることも可能です。
3.法定相続
分割協議で財産分割が合意に至らなかった場合、法定相続にようる相続を行います。
もともと法定相続とは、法定相続人の定義と法定相続分を定義したものであり、相続人が必ず従わないといけないものではありません。法定相続はあくまで一つの目安です。
つまり、「法定相続分 = 自分の取り分」という考え方は間違いです。
法定相続の典型例は以下となります。
・子供がいる場合
妻1/2, 子供1/2の均等割り
・子供がいなくて親がいる場合
妻2/3, 親1/3の割合
・子供・親がいなくて兄弟がいる場合
妻3/4, 兄弟1/4の均等割り
・遺産分割の手順と遺留分
1.遺産分割の手順とは
遺産分割の手順(優先順位)は以下の通りとなります。
1.遺言があるばあいは、原則遺言書に従って相続する
2.遺言書が無い場合は、相続人全員で協議する(遺産分割協議)
3.遺言、遺産分割協議を利用しなかった場合、法定相続による相続となる
2.相続における「遺留分」
相続における「遺留分」とは、相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた制度のことで、相続財産の一定割合を取得できる権利(遺留分権)があります
例えば、遺言書に特定の人(たとえば兄だけ)に遺産の全額を贈与すると記されていた場合、相続人には一定額の保留分が確保され、遺産を取り返すことができます。
ただし、遺留分の主張があること自体が遺産相続トラブルなので、遺留分の主張などない遺産相続がベストでしょう。
遺産相続のよりどころは法律ではなく、各家庭の事情によるものです。
相続の話は親(自分)が元気なうちにする
・親が元気なうちに相続の話をするのは「親不孝」か?
親が元気なうちに相続の話をするのはタブーのようになっています。
また、せっかく親が元気な時に相続の話をしようとしたところ、激怒させてしまった、という話もよく聞きます。
しかし、相続の話をせずに亡くなった場合、今まで見てきたようにトラブルに発展する場合も多く、生前元気なうちに相続の話をしておくに越したことはありません。
相続の話をすることで家族の絆を深めることができるというものです。
・望ましい相続とは?
望ましい相続とは、家族全員の絆が深まる相続をすることでしょう。
決して、完璧な節税対策をするとか、多くのお金を相続人に残すことではないと思います。
子供自体が親の遺産を当てにしているようではロクなもんじゃありません。
相続財産をアテにする必要がない、経時的に自立していることが大切でしょう。
相続では、自分以上に、親・兄弟姉妹の気持ちを大切にできること、決してしこりが残る相続にならないよう注意したいものです。
相続では財産を残す被相続人だけでなく、財産を受け取る相続人の人間性も試されています。
まとめ
さて皆さん、いかがでしたか?
「【争族トラブルを回避せよ!】相続でまず考えるべき事とは」をご紹介しました。これから退職を迎える皆様の参考になったでしょうか。
相続で大事なことは、相続人同士での「譲る気持ち」なのでしょう。
私事で恐縮ですが、実の親、義理の親ともに亡くなっていますが、幸い相続では一切トラブルにはなりませんでした。
妻側は一人っ子ですし、私は無条件で財産放棄したからです(多少の現金はもらいましたが)。兄が一切の親の面倒を見ていたので、放棄は当然でした。
そのため、兄弟の家族間は今でも良い関係を保っており、無条件放棄は正解だったと今でも思っています。多少は親からこうしたいなどとの話がありましたので、まあ阿吽の呼吸というものでしょうか。
いずれにしろ、相続はトラブルなしで済ませたいものですね。
最後に、遺言関係についても書いている「終活」に関する記事をご紹介して終わりにしたいと思います。ご参考になれば幸いです。
では、明るく、楽しく、前向きに、毎日をお過ごしください。
コメント