【超要約】「ほんとうの定年後」-「小さな仕事」が日本社会を救う

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(この記事がお役に立てる人)

・定年前後の年齢でこれからの長い老後に不安を感じている人
・定年を迎えた後、多くの人がどのように生きているのかその実態を知りたい人

 
 現役世代の人にとって、定年後の自分の生活がどなるのかはなかなか想像しにくいものです

 なぜなら、身近に定年後の生活をしている人のロールモデルを見ることが少ないからです。
 また、マスコミなどでは話題になりそうな人だけを取り上げるため、定年後の生活の実態を身近に知る機会があまりないのが実情でしょう。

 そのため、もうすぐ定年を迎える方々にとっては、定年後の生活に対して不安になることが多いのかも知れません。
 この本では多数の調査結果をもとに定年後の生活の実態を明らかにしようとしています。そういう点では画期的な部類の本になると思われます。

 Kindle本だと安いのでぜひ購入して全体を読んでみたい1冊といえるでしょう。

 また、いわゆる「定年本」を5冊書評していますので、こちらの記事も参考にしていただきたい。

【必見!】 おすすめの定年本を徹底比較してみた(5冊)
もうすぐ定年なのだが、定年後がなんとなく不安だ。少しは定年後を扱った本を読んで準備をしたほうがよいのだろうか?お悩みはごもっともです。世の中には「定年後」の本がたくさんありますが、今回はお勧めと言われる本を5冊徹底比較してみました。

本書の概要

1.one

 本書は全体で3部からなる。

 まずは、各章の概要を見てみることで全体の流れを把握することとする。

第1部 定年後の仕事「15の事実」

 第1部では、家計の収入や支出、仕事内容などに関する様々なデータから、定年後の仕事の実態を15の事実としてまとめた上で明らかにしている。(本書より)

 目次に掲げられている、具体的な15の事実は以下の通り。

【第1部 目次】

事実1 年収は300万円以下が大半
事実2 生活費は月30万円弱まで低下する
事実3 稼ぐべきは月60万円から月10万円に 
事実4 減少する退職金、増加する早期退職
事実5 純貯蓄の中央値は1500万円
事実6 70歳男性就業率45.7%、働くことは「当たり前」
事実7 高齢化する企業、60代管理職はごく少数
事実8 多数派を占める非正規とフリーランス
事実9 厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少する
事実10 デスクワークから現場仕事へ
事実11 60代から能力の低下を意識する
事実12 負荷が下がり、ストレスから解放される
事実13 50代で就労観は一変する
事実14 6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活
事実15 経済とは「小さな仕事の積み重ね」である

納得のいく事実とは

 検討の基になる統計データが正しいということを前提にすれば、定年後の生活を送っている自分と照らし合わせて納得できるのは、以下の事実。

    (コメント)
事実2:確かに生活費の低減は実感する
事実4:実際にそうであった
事実5:この程度の貯蓄額なのかという納得感あり
事実7:当然だと思う
事実8:当然だと思う。私もフリーランスだ。
事実9:当然だと思う
事実10:求人情報から見るとそのとおり
事実11:人によりさまざまだと思うが
事実12:会社勤めが無くなるとストレスフリーだ
事実13:確かに就労感は一変した(昔タイプだ)

違和感を持つ事実とは

・事実1、事実3:
 事実1では高齢者の給与平均は300万円であると言っているが、事実3で稼ぐべきは「月10万円」と言っている。
 事実1での高齢者の平均給与は月25万円であり、10万円ではない。なぜこのように食い違いがあるのか何の説明もない。

・事実6
「70歳男性就業率45.7%」は国勢調査の数字から持って来ているが違和感が半端ない。
 確かに総務省の調査で2020年の高齢者の就業者は、65~69歳は49.6%であり、この数字は一見正しいように見える。
 しかし、就業の定義であるが、総務省の調査では「就業者とは、月末1週間に収入を伴う仕事を1時間以上した者」とされており、筆者が事実1で述べている300万円稼ぐ就業者とは明らかに違うだろう。
 数字は同じ母体で統一しないと重大な混乱を招くと思うのは私だけだろうか?

事実14
 定年後は仕事に満足する人の度合いが高くなることには違和感しかない。
 例えば、雇用延長した場合など、仕事が同じで給料が減らされるとか、面白くもない仕事をあてがわれるとかで、モチベーションが下がるというのは一般的に言われることである。
 この事実のもとはリクルートの調査結果であるが、調査結果の数字だけでなく調査方法(質問の仕方)などに問題がないのか、調査対象者に偏りがないのか具体的に明らかにすべきではないか?
 私としては定年後の小さな仕事で満足している人が多いという事実には納得しがたい。

 私個人としてはフリーランスになったことで満足はしてないが、気楽になった面があるのは事実だが。

事実15

 「ここまで行なった分析から分かることは、定年後の小さな仕事には確かな意義があるということである(本文より)」

 どの分析で小さな仕事に意義があると判明したのか私には理解できなかった。

 そもそも、本当に高齢者は小さな仕事に満足しているのか?(疑問だ)

第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで

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 第2部では、7人の定年後の就業者の実例を通して、歳を取るにつれて仕事に対する姿勢がどのようの変化していくのかを追った。(本書より)

【第2部 目次】

事例1 再就職先で一プレーヤーとして活躍
事例2 週末勤務で会社を支える
事例3 包丁都議職人を目指して独立
事例4 近所の学校で補助教員として働く
事例5 同僚、患者とのやり取りを楽しむ
事例6 幕僚監部から看護師寮の管理人に
事例7 仕事に趣味に、人生を謳歌する

 第2部は調査結果の分析ではなく、実際のインタビューに基づいて述べている。

 ただこれらの事例は、当書の趣旨に合うような事例を選択が選択されており(当然か?)、これらが本当に全体を代表する事例なのかは勿論わからない。

 できれば、趣旨にそぐわない事例もあえて掲載し、それでも趣旨の事例が大勢であることようにした方が良かったと思われる。

第3部 「小さな仕事」の積上げ経済

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 第3部は、第1部と第2部で明らかにした定年後の仕事の実態を前提として、少子高齢化が進展していく中で、社会が定年後の仕事に対してどう向き合っていけばよいのかについていくつかの提案をしている。(本書より)

【第3部 目次】

1.定年後も働き続ける人に必要なこと
2.高齢社員の人事管理をどう検討するか
3.労働供給制約時代における経済社会のあり方

 内容的には世間一般で言われている評論家的なものであるが、なるほどと思う部分も多々見受けられ、十分読むに値すると思われる。

 ただ、退職高齢者が働くことが議論の前提となっており、高齢者の選択の自由はどうなっているのかという疑問も湧く。
 私など、海外で自由気ままに生きる身としては、このような風潮が高まると非国民扱いされるのではないかと危惧してしまう(笑)。
 

44.four

筆者の結論とそれに対する感想

筆者の結論

 本書の中で筆者自身により明確に「結論」だと述べられている部分がある。
 筆者の結論とは「中心となる第1部、第2部のまとめ」ということであり、具体的には以下の通り。

 定年後の仕事の実態を丹念に調べていくと浮かび上がってくるのは、定年後の「小さな仕事」が必要不可欠なものとして人々の日々の暮らしの中に埋め込まれており、かつそれが実際に日本経済を支えているという事実である。

 そして、現在における定年後の「典型」は、定年後の「小さな仕事」に無理なく従事しながら、日々慎ましくも幸せな生活を送っている人達の姿だ。なぜなら、このような人たちの姿が高齢期の「典型」であることを様々なデータが教えてくれるからである。(本書より)

筆者の結論への感想

 定年後の仕事の仕方として、「小さな仕事」をする人が大勢であろうことは理解できる。

また、それらの仕事が、少子高齢化で当面不足する労働力として日本経済にそれなりの役割を担うことも理解できる。(※本書でも述べられているが、外国人労働者を低賃金で雇うよりよっぽど良いだろう)

 ただ、これらの高齢労働者の多くが「小さな仕事」に満足し、意義を見出しているかは疑問に感じる。
 先にも述べたとおり、6割が仕事に満足している(事実14)はリクルートの調査であり調査方法が明確に説明されていない。感覚的には生活の為仕方ないから仕事をしている、という人が多いように思う。

 つまり、「小さな仕事」は仕方なくやっているが、まあそれほど不満がない、というレベルでの「仕事に満足」ではないのだろうか?
 本書では「小さな仕事」があたかも定年後の生きがいに通じるような言い方だが、どうも結論ありきで話を組み立てているように感じる。

まとめ

5.matome-

 さて皆さん、いかがでしたか?

「【超要約】「ほんとうの定年後」-「小さな仕事」が日本社会を救う」をご紹介しました。これから定年後の生活を送る上での参考になったでしょうか。

 確かに、「小さな仕事」は定年退職者にとって、生活の糧を得る、人との繋がりを維持する、そしてささやかな生きがいを感じる手段なのかもしれません。
 そして、そのささやかな活動が日本経済に貢献できるのなら非常に喜ばしいことです。

 ただ、われわれ定年退職者に「小さな仕事」をしなさいと指示されるのは不本意です。何十年も滅私奉公してやっと勝ち得た自由の身、やりたいことをすべきでしょう。

 また、定年後を生きる私から見ると、定年後の生き方は人それぞれであり、統計的な調査結果や一部の方へのヒヤリングで全てを説明できるものではないと思います。

 あくまで、本書は一つの参考例と捉えれば、定年後を考える上での非常に有効な参考資料になる要に思います。

 いずれにしろ、能動的に取り組んでいけば、結果はついてくるものと思います。いろいろ悩むより、「ボケてしまえば勝ち!」かも知れませんね!

 最後に、本書のリンクを掲載しておきます。

 では、明るく、楽しく、前向きに、毎日をお過ごしください。

・ほんとうの定年後-「小さな仕事」が日本社会を救う

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