・関心事
定年後の安定収入といえば年金。
その年金の支給年齢が近づくと、手続きのこととかちょと心配になりますよね。特に海外に住んでいる場合はうまく手続きができるのか、とか考えたことはありませんか。
そこで今回は、海外移住者の年金や年金に係る手続きについて考えてみました。まずはご自分の貰える年金の種類、貰える時期、そして海外移住者の注意点などを検討します。
では、具体的に見ていきましょう。
サラリーマンが関係する年金の種類とは?
企業勤めのサラリーマンが関係する年金の種類は結構あるんです。老齢基礎年金(国民年金)や厚生年金だけではないので気を付けたいですね。
1.老齢基礎年金
いわゆる国民年金。20歳以上60歳未満の全国民が加入する必要があります。サラリーマンは厚生年金の掛け金の支払いには国民年金部分も含まれます。
2.老齢厚生年金
厚生年金保険は、国民年金に上乗せされて給付される年金です。厚生年金保険の対象者は主に会社員です。保険料の半分は雇用主が、もう半分は加入者が負担します。
3.企業年金連合会
厚生年金基金、確定給付企業年金のある企業を短期間(10年未満)で退職した方に年金給付を行っています。
厚生年金基金連合会は解散したところが多く、その多くは企業年金連合会に移管され、企業年金連合会が給付を代行しています。
4.企業年金(確定給付型企業年金)
確定給付企業年金とは、企業が独自に定める私的年金です。福利厚生の一環として用意されており、確定給付型企業年金がない企業もあります。年金資産の運用は、会社側が責任を持ちます。有期型と終身型のタイプがあります。
5.企業年金(企業型確定拠出年金(企業型DC))
確定拠出年金(企業型DC)とは、会社が退職金制度として導入する制度。会社からの拠出額があらかじめ決定されており、将来受け取る年金や一時金等の給付額が、個人ごとの運用実績に応じて変動します。年金資産の運用は、加入者が自己責任で行うことになります。
6.個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」
掛金を自分自身で運用しながら積み立てて原則60歳以降に受け取るしくみです。積み立金額や金融商品の選定はすべて加入者が行う制度。
企業型確定拠出年金の加入者は、企業年金にマッチング拠出規約が無い場合は加入できません。
※「マッチング拠出規約」があれば、加入者も一定の範囲内で事業主の掛金に上乗せ拠出ができます。
7.おまけ(加給年金と振替加算)
年金の種類としたら、老齢基礎年金の一部になりますが、我々は運良く支給対象になりますので、対象の方は忘れず手続きするようにうしましょう。
・加給年金
厚生年金保険の被保険者(あなた)が、65歳到達時点で、あなたが生計を維持している下記の配偶者または子がいるときに加算されます。
配偶者は65歳未満。子は18歳到達年度の末日までの間の子。
配偶者は年間390,900円。結構大きい金額です。
子供で18歳以下はなかなかいないですよね。。。
・振替加算
加給年金の対象者(妻)が、満65歳到達時に一定の条件を満たせば支給される。
規定が複雑なので、年金事務所にご確認ください。
いつから年金を貰えるのか?
いつから年金がもらえるかも大きな関心事ですね。
特に厚生年金については、現在65歳への段階移行中なので、生まれた日で受給可能時期が異なります。
1.老齢基礎年金
支給年齢:65歳
請求方法:日本年金機構から、受給開始年の誕生日の3ヵ月前くらいに書類一式が届くので、書類を提出して給付請求を行う
2.老齢厚生年金
支給年齢:段階移行中
老齢厚生年金については、現在支給年齢の移行期間中なので、年齢により年金受給可能時期が異なります。
(男性)
昭和32年4月2日~昭和34年4月1日 63歳
昭和34年4月2日~昭和36年4月1日 64歳
昭和36年4月2日 以降 65歳
請求方法:日本年金機構から、受給開始年の誕生日の3ヵ月前くらいに書類一式が届くので、「老齢厚生年金」についての書類を提出して給付請求を行う
3.旧厚生年金基金:段階移行中
支給年齢:老齢厚生年金と同じです。
請求方法:不要(老齢厚生年金の手続きに連携している)
→※手続きを確認したが不要とのこと。
4.企業年金(確定給付型企業年金)
支給年齢:原則60歳以降。
請求方法:勤めていた会社から書類一式が届くので、書類を提出して給付請求を行う。
5.企業年金(企業型確定拠出年金(企業型DC))
支給年齢:原則60歳以降。
請求方法:運用会社から書類一式が届くので、書類を提出して給付請求を行う。
6.個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」
支給年齢:原則60歳以降。
請求方法:運用会社から書類一式が届くので、書類を提出して給付請求を行う。
7.おまけ(加給年金と振替加算)
加給年金
支給年齢:被保険者が65歳
振替加算
支給年齢:配偶者が65歳
海外移住者が手続きで気を付ける点は?
海外に住んでいる場合、いくつか特別な申請が必要になります。
申請することで年金に日本の所得税がかからなくなるので、ぜひ手続きしておきたいですね(二重課税の防止)。
「租税条約に関する届出書」(各年金共通)
海外移住者で「非居住者」に該当する場合は、「租税条約に関する届出書」を提出することで、日本の所得税がかからない(逆に滞在国での課税となる)ことになります。ただし、滞在国が租税条約締結国であることが必要です(下記参照)。現地で課税のトラブルは避けたいですね。
これは全ての年金にも当てはまります。つまり、海外移住で非居住者であれば、年金に日本の所得税はかかりません。海外に移住済であれば、年金申請時に申請します。
なお、フィリピンの場合、退職者ビザ(SRRV)を取得していれば、フィリピンでの課税もありません。
※退職者ビザ代が別途かかりますが。SRRVの年会費US$ 360です。
ちなみに、移住先で人気の高い、タイは年金に課税、マレーシアは非課税のようです。(両国とも租税条約締結国です)
租税条約締結国(財務省HPより)はこちら
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/tax_convention/index.htm
居住者と非居住者の区分(国税庁)はこちら
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
在留証明書の提出(各年金共通)
各年金機関から、毎年「現況届」の提出を求められます。ただこれは、国内仕様のため、海外在住者は各国にある日本大使館・領事館発行の「在留証明書」を提出することになります。
なお、最初の年金受給申請時にも必要になりますので、忘れずに取得しましょう。
在留証明書には以下の2種類あるので、間違わないようにしましょう。
・日本年金機構用
・一般用
企業年金などは「一般用」になります。
日本年金機構だけ特別扱いなんですね。
海外在住のまま、年金申請はできるか?
海外からの手続きは可能です。基本的に他の年金機構でも可能です。ただ、提出書類が違ってきますので、各年金の取り扱い担当に確認しましょう。多少はやり取りとか面倒になります。
日本年金機構の場合は、手続きが基本的に「郵便」ベースなので、どこに住んでいようと可能です。
ただし気をつけなければならないのは、「受給開始年の誕生日の3ヵ月前くらいに書類一式は届きません!」
自分でダウンロードして日本年金機構宛て送付します。
※日本に住居を残している場合、そちらに書類が送付されます(日本年金機構に届けている住所の場合)。奥さんとかが日本の居宅いれば代行申請してもらえるので楽ですね。
日本年金機構・海外居住者の年金請求 関係はこちら
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/seikyu/20161109.html
まとめ
さて皆さん、いかがでしたか?
「海外移住者のための年金のお話し」をご紹介しました。これから年金を受取るうえでの参考になったでしょうか。
年金の手続きは結構複雑ですし、初めてのことなので書類もどう記入したらよいか迷います。本来は日本で手続きしてから海外移住するのが楽かも知れまません。
しかし、それぞれのご事情もありますし、今回のコロナみたいに帰りたくても帰れない場合もあります。何があるか分からない世の中だから逆に面白いかもしれませんね。
まずは大事な年金、現役時代に汗水たらして支払ったものです。貰えるものは有難く頂戴いたしましょう。
では、明るく、楽しく、前向きに、毎日をお過ごしください。
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