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1月10日の日経記事に、「日立製作所、全社員ジョブ型に」という、センセーショナルな記事がでました。『事前に職務の内容を明確にし、それに沿う人材を起用する「ジョブ型雇用」を本体の全社員に広げる』、とのことです。
ご存知の通り、日立製作所だけでなく最近は「ジョブ型雇用」を採用する企業がとても増えてきています。例えば、KDDI、富士通、カゴメ、などといった企業では既に「ジョブ型雇用」の効果が表れているなどと、別の記事として日経が書いています。
このように日経が「ジョブ型雇用」を煽っているということは、当然経団連などの意向を汲んでおり、早晩多くの企業で取り入れられるということになるでしょう。
つまり、もう誰もが他人事ではないということです。手遅れにならないうちに自己の対策を検討しておかないと、人事部にいいようにやられかねません。
そうならないためにも、「ジョブ型雇用」にどう対処すべきか考えていきましょう。
ジョブ型雇用とは
すでに多くの方はジョブ型雇用についてはご存知のことと思いますが、まずは簡単に復習しておきましょう。
ジョブ型雇用の特徴
・ジョブ型雇用とは、実際の仕事内容に合ったスキルを持った人を採用する専門性を高めた採用方式のことをいいます。職務や勤務地、労働時間が限定されているのが特徴です。
・ジョブ型雇用で採用される社員は、業務範囲や時間、求められるスキルなどがまとめられた書類である「職務記述書」に基づいた業務を行います。
従来型の雇用形態と何が変わるのか?
・従来の雇用形態は「メンバーシップ型」と言われる雇用形態が一般的であり、ジョブ型雇用とは以下のように異なります。
・メンバーシップ型雇用の場合は、先に社員を採用し、それから個人の能力などに応じて仕事を割り振る形です。新卒一括採用型の雇用システムなどで広く採用し、その中から会社を支えていってくれる人物を社内で育てていく考え方です。 担当する業務も多岐にわたり、様々な知識や経験を身につけていきます。
・それに対して、ジョブ型雇用の場合は先に職務記述書があり、それを遂行可能なスキルの人を充てる、という考え方が基本です。そのため中途採用が中心になり、必要な要員の欠員が出た場合に補充することになります。
報酬面では、年齢や学歴などはそれほど重視されず、スキルに応じて報酬が変わります。
ジョブ型雇用のメリット・デメリット(従業員側)
ジョブ型雇用のメリット・デメリットについても多くの方はご存知とは思いますが、簡単に整理しておきたいと思います。
年功序列に慣れ親しんできた中高年にとっては、かなり厳しい状況になることが予想されます。
ジョブ型雇用のメリット
・年齢などではなく、スキルや職責による明瞭な報酬が得られる
・待遇の良い他企業などへの転職が容易になる
どうも中高年にはあまり馴染まないメリットのように見受けられます。
ジョブ型雇用雇用形態への移行措置期間をうまく活用して対策を練るなり、逃げ切る算段をすることが必要かもしれません。
ジョブ型雇用のデメリット
・担当する職種が不要になれば仕事がなくなる
・期待される成果が出なければ降格となる
デメリットの面からも、完全にジョブ型雇用に組み込まれてしまうと厳しくなります。
十分な生き残り対策を検討する必要があるでしょう。
中高年の「ジョブ型雇用」への生き残り対策5選
【対策1】積極的に「ジョブ型雇用」へ順応して今の会社に貢献する
積極的に「ジョブ型雇用」へ順応し、今の会社に貢献していくことは王道です。今の社会での風向きを読み、柔軟に対応していくことこそサラリーマンの鏡といえるでしょう。
・自分のスペシャリティを確認する
「ジョブ型雇用」に関して言えば、積極的に自分のスキルを棚卸しして、自分がどの分野で社内外において通用するのか積極的に見極めたいものです。
中高年にもなれば何らかの得意分野があるはずです。自分で分からなければ上司や同僚に積極的に聞きましょう。せっかく「ジョブ型雇用」に移行するのですから、これを逆手に取って「自分の得意」を教えてもらいましょう。普通なら聞きにくいことですが、「ジョブ型雇用」の御旗があるので聞きやすいというものです。
・自己研鑽をする
自分の得意分野が確認できたら、その分野の「会社で一番」を目指しましょう。少なくとも部署内での1番は必要でしょうね。
「この事であればあの人に聞いたら?」と言われるようになればしめたものです。
これは自分にとってのチャンスだと考え、積極的に自己投資もしたいものです。また、関連する資格にチャレンジ、取得して権威性を高めておくのも生き残り戦略として良い手段かもしれません。
もしその資格が、定年後にも活用できる資格であればば、一石二鳥ですね。該当資格に関する分野での実務経験が十分積めば、定年後でも稼げるかもしれません。
・得意な仕事に特化する
「ジョブ型雇用」の仕組みを利用して、自分の仕事を選ぶとういしたたかさも必要でしょう。
「ジョブ型雇用」の制度の下では、何でも屋は優遇されません。ましてや中高年で得意分野がないと生き残ることは今まで以上に大変になるでしょう。
そこで、得意分野が明確になれば、自分の仕事を得意な分野の方向に希望を出して移行していくことが可能になります。
ぜひ、得意分野に特化してお気楽な会社生活を満喫しましょう。
【対策2】転職や独立を視野に、積極的に順応して自分の得意分野を伸ばす
これからの時代、中高年でも転職や独立を視野に入れておくことは重要です。
・まずは自分の得意分野を見極める(対応1と同様)
「ジョブ型雇用」への移行は、転職や独立を視野にいれている人には、ある意味チャンスです。
自分で努力しなくても、会社で自分の「得意分野」を探し、育成していく手助けをしてくれます。
そのため、自分の得意・不得意がいまいちわからない中高年でも、まわりが積極的に教えてくれるでしょう(そうでなければ自分で聞く)。
・外部に売れるスキル獲得を目指す
自分の得意分野が見極められたら、次は外部に売れるスキル育成を目指す、ということです。あくまでターゲットは外部です、社内ではありません。
※もちろん、自分で努力する気力があればですけど・・・
社内で評価されたスキルだからと言って外部でそのまま通じるとは限りません。ここはしっかり外部の『転職エージェント』を使い倒して、どのようなスキルセットが外部で通用するのか、需要があるのかを見極めたいものです。
自分のスキルが向上し、外部で評価されていることが分かれば、スペシャリストとして社内でも大きな顔ができます。また社内での待遇に不満があれば本当に転職という事に踏み切ればよいだけです。
いずれにしろ、自分のスキルを評価するため転職エージェントを使い倒すのは、タダでノーリスク。使わない手はありません。
【対策3】「ジョブ型雇用」に順応するふりをして、裏で副業に精を出す
表向きは「ジョブ型雇用」へ積極的に取り組む姿勢を見せ、裏で副業に精を出すのもアリだと思います。
・まずは月5万円の副業を目指す
うまく自分の「得意分野」が見つかればよいですが、中高年になってそんなのが簡単に見つかる訳がありません。他人が羨む得意分野があればとっくに出世しているでしょう。
「ジョブ型雇用」にそぐわないと、いつリストラされるか分かったものではありません。そのためにも会社以外での収入の道を探るのは、とても理にかなった行動です。
副業で失敗しても失うものは何もありません。チャレンジしてみる価値はあるというものです。もし、少しでも稼げるようになれば、会社への依存度も下がるし、定年後の年金の足しにもなります。
そうはいうものの副業は簡単ではありません。功を焦らず、いろいろなものにチャレンジして、まずは月5万円を目指したいですね。
・副業で投資を行い、老後資金を増やす
最近は投資ブームです。さすがにスズメの泪の銀行預金の金利だけでは将来が不安です。
ブームに乗るのは危険ですが、昔に比べて良い情報が溢れています。投資は投機ではありません。しっかりした情報をもとになるべく安全に運用したいものです。
FXや暗号資産、株の短期売買などはリスクが高く、中高年は手を出すべきではないと思いますが、NISAやiDeCoなどを活用した中長期投資であれば、かなり再現性のある確実な投資法と言われています。
定年や引退時期までまだ時間があれば検討の余地はあるかと思います。
なお、星の数ほどの悪徳な情報商材屋が手ぐすねを引いて貴方を待っています。まずは、両学長の「お金の大学」あたりから勉強したら良いかも知れません。また、私の記事を参考にしていただけると幸いです。
***** 両学長の本 *****
(参考記事)
【対策4】順応するふりをして、大人しく定年まで過ごす(達観する)
自我を押しとどめて、大人しく定年まで過ごすのもありだと思います。
特に目立った「得意分野」が無い場合は仕方ありません。割り切ってしまえば案外楽になるかもしれません。
・穏便に余生を過ごす
例えば、役職定年を既に迎えて閑職に追いやられているのであれば、積極的に「ジョブ型雇用」へ対応する必要はないでしょう。
今さら得意分野を新たに発掘し、磨いていく時間も気力もありません。ここは嵐が過ぎ去るのを待って、穏便に過ごしていくのが賢明でしょう。
会社としても既に期待はしていないし、どのようにしてにスキルを売れる人材になれるかの努力するステージでは既にありません。
ただ、居心地を悪くしないために、会社からスキルチェックシートの自己評価などを指示されたら、面倒くさがらずに素直に対応したいものです。穏便に逃げ切ることだけ考えましょう。
・もし自分の得意が見つかればラッキー
スキルチェックシート等で自分のスキルを棚卸したとき、もし売れそうなスキルが見つかれば、とてもラッキーではないでしょうか。
積極的まではいかないまでも、できればその分野で多くの経験を積めるような仕事の希望を出すのも良いかも知れません。積極的に対応すれば上司や周りの評価も上がるかもしれません。
その上で、スキルマーケットで売れるかどうか試してみるのもありでしょう。売れなくてもともと、失うものはありません。もし売れたらラッキー!定年後にスキルマーケットでお小遣いが稼げるかもしれません。
どんなスキルが売れるのか、ココナラなどのスキルマーケットに登録して覗いてみるとよいかも知れません。
【対策5】今までと何も変えずに、自分の道を行く
今までと何も変えずに、「我れ関知せず」と自分の道を行くのも素敵です。
小手先で人事制度を変えたところでいったい何が変わるのでしょうか?要は、数字さえ上げれば良いのではないでしょうか。
周りでごちゃごちゃ言ったところで、結局は数字で評価されるのがサラリーマンというもの。数字を上げたものが最後は勝ちです。
日本企業の低迷が長年続いていますが、口先だけの学者・評論家が多すぎです。そして小役人じみた会社の幹部たちが小手先の改革を行う。何か最近の日本には「がむしゃらにやる」気概が無くなったように思います。
このような状況では「ジョブ型雇用」に移行したところで、所期の目的は達成されないのではないかと危惧します。
でも、個人は数字さえ挙げていれば問題ありません。
周りがいくら騒ごうとも、我れ関知せずと数字さえ追いかけていれば別段問題は無いのです。
まとめ(「ジョブ型雇用」への移行は吉か凶か?)
さて皆さん、いかがでしたか?
「【とても心配だ!】中高年にとって「ジョブ型雇用」への移行は吉か凶か?生き残りのための対策5選!」をご紹介しました。
これから「ジョブ型雇用」への対策を練る上での参考になったでしょうか。
中高年にとっての「ジョブ型雇用」への移行においては、自分が今までの会社生活で得意分野、特に社内外で価値のあるスキルを獲得できているかどうかに大きくかかわってきます。
若手であればこれから自分の得意分野を獲得して磨き上げる、という時間がありますが、中高年にとってはまずスキルがあることが前提です。これから勉強します、なんていったら鼻で笑われるでしょう。
何十年も働いていれば何かしらの得意はあると思いますが、その優劣(有用性)により、会社生活での選択の幅が違ってくるかもしれません。
いずれにしろ、おかれた立場で今後を乗り切っていくしかありません。
結局のところ、「ジョブ型雇用」への移行を吉とするのも、凶とするのも本人次第・運次第、というところでしょうか。
今回、【対応1】から【対応5】までをご紹介しましたが、これ以外の選択ももちろんあると思います。ますます中高年には厳しい時代ですが、逞しく最後まで職業人として生き抜いていただきたいと思います。
この記事が少しでも中高年の皆様の参考になれば幸いです。
グッドラック!
では、明るく、楽しく、前向きに、毎日をお過ごしください。
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