・お悩み
もうすぐ定年なのだが、定年後がなんとなく不安だ。マスコミでも盛んに老後不安を煽っている。お金の問題、人との付き合いの問題、妻との関係、などなど。
少しは定年後を扱った本を読んで準備をしたほうがよいのだろうか?
お悩みはごもっともでございます。
世の中は「老後不安」を煽って商売にしている輩が多いんです。
定年後を扱った本についても同じです。刺激的であればあるほど売れるので、内容が煽り調になっていたり、「~すべき」などど断定調になったり、いろいろです。
今回は、お悩みにお答えして、お勧めと言われる本を5冊徹底比較してみました。(ちょっと少ないですけど)
ご参考になれば幸いです。
定年本とは?
定年本とは、定年にまつわる事柄を解説した本であり、扱う範囲は広い。ほぼ扱う内容は、4つのパターンに分類されるようです。
定年本は、これらのどれを中心に書くか、ということで特徴がでます。
①定年に係る手続き:退職金、健康保険、年金関係、失業手当、など。実用的な内容。この内容に特化すると実用書になる。
②仕事に関すること:定年後の雇用延長、再就職、独立など。再就職が難しく、うまく行かないことなど、暗い内容が多い。
③生きがいに関すること:定年後どう生きるか、という生きがい論を中心に、趣味をどうするか、家族や地域との関係、友人関係などに言及するものが多い。
④お金に関すること:年金の増やし方、お金の増やし方、投資、など。逆に、家計の倹約に関すること、質素な生活、断捨離、など
⑤最後に、各パターンの内容をまんべんなく取り入れている本もある。
多かれ少なかれ、各パターンの内容を盛り込んでいるものが多いが、あまりにバランスを取ると特徴がなくなる。
定年本をどう生かすか
定年本は読むべきか?
結論:
困っていることがあって(例えば再就職など)、それにについてガイドをしてくれるような本があれば、読むべきだと思います。
また、特に差し迫って困って無くても評判の良い本を何冊か読むと為になるので読んで損はないです。ただし、下らない本も多いので、たくさん読む必要はないと思います。
だいたいにおいて、定年本に出てくるエピソードは読んでいて恥ずかしいものが多く、「バカが、俺は違うぞ」という優越感を得られるか、少しは自分もその傾向があるかも、と若干心配しながらも相対的優越感に浸れるので、読んでいて面白いと思います。
定年本をどう生かすか?
悩んでいることの、ドンピシャの本であれば参考になるでしょう。
でも、普通の人には参考になるというより読んで面白い、エンターテイメントの本だと割り切るべきだと思います。
筆者が、盛んに言う「~しましょう」とか「~すべき」などと言うことは、そんな馬鹿らしいことができるか、または、そんな無茶な、のどちらかです。そんなことに真面目に関わらず、ちょっとしたことの「気づき」があれば、それで良しとしませんか?
定年本には「第二の人生の成功事例」みたいな人たちがたくさん出てきますが、本当のところどうなんだろう、実は苦労してるんだろうなぁ、と想像するのも面白いものです。
定年本とは、「定年後苦労している人が多い」ということを自分自身に知らしめてくれて、安心させてくれるもの、ではないかと思います。実用というより、精神的に安心させてくれるもの、と思ったらどうでしょう。
決して、馬鹿正直に書いてあることを全て実践することはしまい、と思っております。
定年本5冊、徹底比較(★は2020/12/8時点のAmazonのレビュー評価)
勝手に5冊の「定年本」を選んでみました。
結果として、それぞれ個性があり同じような本はなかった、という結果になりました。できるだけその本の特徴が分かるように表現したつもりです。
定年後 – 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書)
★3.7(162レビュー):評価はばらけている。星5の割合いが高い。
一言でいえば、定年本としてバランスのとれた本という感じ。
定年後の生き方、働き方、家庭のこと、社会とのつながり、などを考察し至極まっとうなことが書かれていて、なるほどと思うことも多い。
60歳から75歳までを、自分が本当に自由にできる「黄金の15年」と定義しているのも面白いし納得。また、幼少期にまでさかのぼって自分に向いていること、したいことを探すべしというサジェスチョンはアリだと思います。少なくても構わないから報酬のある仕事を現役で続ける事が定年後の生活に活力を与える、というのもごもっとも。
個々に言っていることは、確かにそうだよね、と思えるのだが、それでは全体としてどうするべきなの?という点がボケている。部分最適を寄せ集めたと言う感じがする。全体的に癖がなく、逆に面白みに欠ける、ということもいえるかも。
なお、全体として大企業の役職者目線。
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知らないと後悔する定年後の働き方 (フォレスト2545新書)
★3.9(43):評価は星5,4,3でほぼ均等。星1,2が少ない。
定年後の働き方(仕事)に特化した本。
そのため、定年後の働き方に悩んでいる方にはお勧めである。逆に、定年後の生き方全般の話は薄いので、別の本を読むべきである。
「定年前後の「やってはいけない」」と違って、再就職だけでなく、元人事部の目線で個人事業主なども視野に、定年後継続して働くにはどうすべきか述べている。そういう面では、再就職だけでなく長く働くためにはどうすべきかを考えるキッカケにもなるだろう。
ただし、どう自分を売れる人材にするかは自分次第である。
試しに著者の所属するという「インディペンデント・コントラクター協会」なるもののホームページを見てみた。会員数99名。個人事業主の集まりとして多いのか少ないのか?
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定年後からの孤独入門 (SB新書)
★3.5(34):評価はばらけている。
本全体に違和感があった、不思議な本。
「定年後からの孤独入門」というタイトルと本の内容が違っているように思う。
タイトルから想像するに、定年後の「孤独」をどう生きるか、「孤独」でも楽しいから大丈夫だ!などというのを想像したが、全く違った。
700人インタビューしたと豪語しているのに、全体の分析結果があるわけではなく、何名かの結果を自己の主張部分に小出しにしているだけ。
突然、訳のわからない言葉や概念、誰かの考えが出てきて話が飛んでしまう。
well-being、半径3メートル、アーロン・アントノフ スキー 博士の話、ヘールト・ホフステード 博士、ハー バード・メディカル・スクール の 研究者、教育学者、ドナルド・E・スーパー、などなど。
こんな読みにくい本は最近なかなかお目にかかれない。
ぜひ、書店で立ち読みして、確かめて欲しいと思います。
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定年前後の「やってはいけない」 (青春新書インテリジェンス)
★3.7(104):評価はばらけている。
転職仲介業を経営している観点からものを言っている。
定年後は働くことありきの本。「定年バカ」との対比が面白い。ものの言い方は全て上から目線。
高齢者の転職を成功させるためには著者の言う通りかもしれないが、一般的な観点からすれば、大きなお世話である。別に定年後の再就職を考えていない者からしたら、ただの偉そうな説教をするジジイである。
でも、この本は定年後の再就職を目指す人向けに書かれたものと割り切れば、納得がいく。別に全ての読者が再就職を目指すわけではあるまい。タイトルをもっと明確にすべきだったろう。
よって、定年後の再就職がうまく行かず、どうにかして新しい働き口を得たいと奮闘している方々にはお勧めしたい。たぶんお役に立つでしょう。
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定年バカ(SB新書)
★3.7(90):評価はばらけている。
定年本としては異色で面白い。
巷の定年本に反旗、「何もしない」という選択肢があっていいとの主張。
確かにそのとおりで、世の「定年本」が「再就職がぁー」、「生きがいがぁー」、「近所付き合いがぁー」、など定年後はしっかり何かをしないといけない、するべきだ、と「強要」している。これに対し、著者は毎日朝からTV三昧だ!、と開き直りの姿勢を見せている。
著者のいうとおり、何かをしなければと、定年後一所懸命に取り組む人はそうすれば良い。でも、そうしたくない人だっているのだ、というのは正論だろう。まさに本人の勝手である。他の本の著者たちが、どうせ定年退職者は金がないのだから再就職しないと大変だ、生きがいを持て、などと一律強要するのは、迷惑なお節介であり、人を馬鹿にした上から目線である。
ただ、著者の実生活が本書に書かれているとおりなのかは、確かめるすべはない。最近も何冊も本を書いているようだし、斜に構えてしまうのは私だけだろうか?
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まとめ
さて皆さん、いかがでしたか?
「おすすめの定年本を徹底比較してみた(5冊)」をご紹介しました。
定年後を考える「定年本」を選ぶ上での参考になったでしょうか?
巷は「定年本」で溢れています。ただ、本を読んだから定年後の生活がうまく行くわけではありません。「定年本」はあくまでも行動のキッカケや、気づきを与えてくるだけです。最後は何事もご自分で決断、行動することが必要になりますよね。
では、明るく、楽しく、前向きに、毎日をお過ごしください。
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