・この記事で解決できるお悩み
・ブリッジSEについて知りたい
・スキルはないけど、ブリッジSEになって海外で働きたい
最近のシステム開発では海外のオフショア技術者を使うのが当たり前。そこで必要とされるのがブリッジSEです。この記事ではブリッジSEとは何か、そしてスキルゼロからブリッジSEになる方法も解説します。
ぜひブリッジSEにチャレンジして、オフショア開発の醍醐味を味わってください。
ブリッジSEについて詳しく知りたい方は最初からお読みください。
全然スキルは無いけど、海外でブリッジSEをやりたい人は、6.スキルゼロからブリッジSEになる方法、を直接読んでください。
オフショア開発について知りたい方は以下の記事を参照願います。
ブリッジSEとは
ブリッジSE(Bride SE(BrSEとも記述))とは、システム開発の一部を海外で行う「オフショア開発(offshore development)」において、プロジェクトを円滑に進めるために日本側と現地エンジニアの橋渡しをする役割の人です。
・オフショア企業とブリッジSE
ブリッジSEは現地に滞在する日本人SEや日本語が堪能な現地人の場合があります。また逆に、日本在住の日本人SEが担当する場合や日本に駐在する現地人担当者のことを指す場合もあります。
ブリッジSEの勤務地パターンは以下のようになります。
②日本勤務 現地人BrSE (駐在)
③海外現地勤務 日本人BrSE (現地採用が主)
④海外現地勤務 現地人BrSE
一概に日本人ブリッジSEといっても、日本勤務 or 現地勤務かで必要とされるスキルや責任が大きく違います。また、日本企業(外国企業)の子会社か独立した企業かにもよって役割が違ってくる場合があります。
海外の現地企業に日本からブリッジSEとして駐在させないのはコスト面や要員繰りの問題です。日本から駐在させるためには多額の費用がかかりますし、エンジニアには日本で本来的な仕事をしてもらいたいからです。そのため、駐在の日本人ブリッジSEはいないか最小限に絞ります。
※海外駐在の上級エンジニアがいる場合、重要案件に限ってブリッジSEの役割も持つ(基本は責任者)こともありますが、あまり一般的ではありません。
※大手Si’erの現地子会社の場合などは、日本語の堪能な現地人エンジニアがブリッジSEを務める場合が多い。
※独立系のオフショア企業の場合は、英語の堪能な若手日本人を現地採用する場合が多い(エンジニアでない場合もある)
当記事で扱うブリッジSEとは、①、③の日本、または現地に滞在する「日本人ブリッジSE」を対象とます。
ブリッジSEの仕事内容
ブリッジSEの仕事内容は会社によってかなり違う場合があります(大手企業とベンチャー企業とでもかなり違う)。
仕様書の翻訳と通訳だけの場合から、技術サポートを行ったりプロジェクト全体の責任者としての位置づけの場合まで多岐にわたります。もちろん必要とされるスキルや給与・ポジションも違ってきます。
そのため、ブリッジSEになる場合、どのようなRole(役割)を担うのか明確に確認する必要があります。
よく確認しないと、通訳程度だと思っていたらプロジェクト全体の責任を押し付けられた、などいわゆる”ブラックな仕事”になりかねません。
海外現地開発体制とブリッジSEの位置づけ
(一般的な現地ブリッジSEの場合)
案件の大小により体制が異なってきます。
ある程度の規模の大きな案件であればブリッジSEは専属となりますが、小さめの案件の場合は、一人のブリッジSEが複数プロジェクトを兼務する場合が多いようです。
例えば、以下のような位置づけになります。
日本人ブリッジSE以外は現地人であることが普通です。
<<開発体制図>>
PM/開発リーダー
|
|—-ブリッジSE(兼務)
---------
| |
サブリーダー サブリーダー
| |
メンバー メンバー
メンバー メンバー
メンバー メンバー
メンバー メンバー
※日本にブリッジSEがいる場合は、現地の体制図にブリッジSEがいなくなります。
ブリッジSEの仕事内容
一般的な現地ブリッジSEの仕事内容
オフショア企業のブリッジSEの基本的な仕事はだいたい以下のようなものです。
・仕様書の現地エンジニアへの説明
・日本側宛て報告資料の作成(日本語)
※現地の資料から日本語へ翻訳
・日本側との会議で説明や通訳等の実施
※進捗会議、トラブル報告、など
・日本側と現地エンジニアとのQA等のハブ
・納品物の日本語訳(あれば)
見て分かる通り、直接技術的な活動はあまりしません(もちろん技術がわかってないと仕事はできないことですが)。
この場合、開発成果物(コードや仕様書)や仕様調整などはPMや開発リーダーの責任範囲です。ブリッジSEが自分勝手に仕様調整や成果物のコミットなどをしてはいけません。あくまでも開発チームや日本側の意図を相互へ正確に伝えて間をとりもつのがミッションです。調整を掛けるのは良いですが、ブリッジSEの一存で決まるものではありません。
「日本側との調整がブリッジSEの仕事だ!」などと言う人もいますが、ここを間違えると日本側と開発チーム間の大トラブルのもとになります。
※海外の人はRole/Missionに厳格です(当り前ですが)
もし、日本側と開発チームとの間で話が難航したら、ブリッジSEが調整に奔走するのではなく、開発リーダーの上司が調整・決定すべき問題でしょう(特にスコープや品質面など)。
ブリッジSEは事実に基づいたエスカレーションをまずはすべきでしょう。
・日本在住のブリッジSEの場合
日本側で作業するブリッジSEは、現地開発リーダーよりポジションが上の場合がほとんどです。
この場合は、日本のブリッジSEがPMのRoleになることが多いので、ブリッジSEの責任は非常に大きくなります。
該当プロジェクトに対して以下の責任を持ちます。
・成果物の納期
・プロジェクト・コスト(コスト管理は除かれることもある)
ブリッジSEと言わずにPMと呼んだほうがスッキリすると思います。
ブリッジSEの勤務地とその特徴
ブリッジSEは国内勤務、海外勤務のいずれもあります。
上記のように一般的にそのRoleに大きな違いがあるため、それぞれ以下のような特徴があります。
・語学力が優先されるが、ITスキルも必要
・一般的に、現地開発リーダーより下位ポジション
・給与は安い(他職種の現地採用の給与レベル+αくらい)
・複利厚生は薄い。住宅が貸与される場合もある
・日本側(顧客)とリモートで対峙するが、責任は負わない
・一般的に若い人が多い
・高いITスキルと相応の語学力が必要
※英語は多少の会話力とチャットベースでもなんとかなるが
・ほとんどPMの位置づけ(現地開発リーダーより上位)
・給与は高い。日本の複利厚生も享受
・顧客と直接対峙する大変な役割
・リモートで現地との調整・指導もするので難しい
※最初現地に一定期間滞在してコネを作るのが一般的
日本国内のブリッジSEは、現地エンジニアを指導する立場でかつ顧客とも直接対峙するので、仕事的にはタフですが給与は高めです。
逆に現地のブリッジSEは給与は安いが、ある程度気楽なポジション。ブラック化には気を付けましょう。
ブリッジSEに必要なスキル
ブリッジSEに重要なスキルとは
ブリッジSEに必要なスキルはだいたい以下の5つに集約できます。
・語学力(基本英語。ペラペラでなくても大丈夫)
・コミュニケーション力(常識的なレベル)
・相手国の文化・特性の理解(住めばすぐわかる)
・マネジメント系スキル(Roleによる)
さきほど解説した通り、ブリッジSEの役割は会社やその立場によりかなり違ってくるので、自身の契約したRoleにより必要なスキルを確認するとよいでしょう。
しかし、いずれにしても重要なのは「システム開発スキル」です。
もちろん語学力もコミュニケーション力も必要ですが、システムを開発するのですから「システム開発スキル」はとても重要です。
語学力は最悪通訳を入れれば済みますし、コミュニケーションは仕組みや現地メンバ^の工夫などでどうにかなるものです。
どうにもならないのが自分の「システム開発スキル」です。
ブリッジSEは日本側(お客様)の要求仕様を正しく現地エンジニアに理解できるようにしなければなりません。また、現場で発生する開発上の課題やトラブル、代替策などを日本側(お客様)に正しく説明できないといけません。
システム開発のスキルや経験がないと、これらのことを現地側/日本側に正しく伝えることができません。また、開発スキルが無いと現地エンジニアにバカにされることも出てきてコミュニケーションが阻害される原因にもなります。
ブリッジSEにまつわるトラブルの多くが、システム開発スキルやシステム開発経験不足に起因することがとても多いのが実情なのです。
また、オフショア会社によっては、何でもかんでも現地のブリッジSEに押し付けるようなことも散見されますが、開発経験の少ない人にプロジェクトマネージャーの役割などを与えても、できないのは火を見るより明らかです。
ブリッジSEに役立つ資格
役に立つ資格は特にありません。実務経験がベストでしょう。
「情報処理技術者試験」に受かっていれば、ITの基礎知識はあるだろうと判断されます。しかし、仕事ができるのとは全く別物ですので、そこまで評価されません。
もっと直接技術に直結したもののほうがまだ良いでしょう。例えば以下のようなもの。
AWS 認定ソリューションアーキテクト
PMP (Project management Professional)
でも所詮は試験勉強すれば取得できるものなので、実務経験に勝るものはありません。
なお、「日本勤務でブリッジSEを行う場合」は、PMPなどを持っていると、日本の大手の顧客の受けは良いかも知れません。
ブリッジSEになるメリット、デメリット
ブリッジSEになるメリット、デメリットはそれぞれあります。
人それぞれに違いはあるでしょうが、代表的なものは以下になるでしょう。
・ブリッジSEになるメリット
・英語を仕事で使うことで、実践的な英語が堪能になる
・海外に知り合いができる
・ブリッジSEになるデメリット
※特に文化や考え方のギャップ等を説明しても納得してもらえない場合など
・時差のため勤務時間がずれる場合がある
・現地採用の場合は給与などの待遇面で恵まれない
ブリッジSEになる方法(必要なスキルあり)
システム開発経験があって語学力があればだれでもすぐにブリッジSEになれます。求人も多いので問題ないでしょう。
必要スキルがある場合、IT実務経験があって現地採用を目指す人は少ないと思いますがとりあえず記載します。
ブリッジSEになるステップは以下の通りです。
国内のブリッジSEを目指す場合
①まずは情報収集する
・就職WEBサイト・就職エージェントに登録する
②履歴書・業務経歴書を作成する
履歴書・業務経歴書を作成する(基本は日本語)。
場合によっては英語の履歴書を要求される場合もあるので、準備できればベター。
※現地出張などのときの自己紹介のネタとして使う場合もあるので無駄にはならない
③ブリッジSEに応募する
就職WEBサイト・就職エージェント経由で応募する
④面接を受ける、内定をもらう
英語での面接は覚悟しておく
現地採用のブリッジSEを目指す場合(稀でしょうが)
①まずは情報収集する
海外就職情報サイトへの登録
現地の日本語就職情報を確認する(Web情報)
現地企業情報を収集する(現地の開発会社情報など)
②履歴書・業務経歴書を作成する
履歴書を何語で書くか指定されていればそれに従う。
基本英語で準備しておくことが望ましい。
③ブリッジSEに応募する
海外就職情報サイトや現地のWEB求人情報から応募する
現地企業へ直接メールして応募する
※現地の日本人ブリッジSEは常に質・量ともに不足しているので、魅力的な応募者であばば、いつでも採用します
④面接を受ける、内定をもらう
基本的に英語の面接になります
スキルゼロから海外ブリッジSEになる方法
システム開発をやったことが無く、語学も自信がない。でも海外でブリッジSEとして働きたい人!
朗報です!海外のブリッジSEになるのはそれほど難しいことではありません。
南国の海が待ってます。すぐに行動を起こしましょう!(ちょっと煽りすぎ?)
・最短で現地採用のブリッジSEになる方法
日本でうだうだしていても仕方ありません。(今はコロナ禍で仕方ありませんが)
まず行動を起こす。例えば現地に行ってしまうのも手です。スキルがなければ現地でスキルをつける。合わせて現地の状況も探れるというものです。
1.ITと語学が同時に学べる学校に入る
・HTML/CSS, JavaScriptの勉強を速攻でする(PHPやRubyなどのプログラミングまでは手を広げない。)
・合わせて英語の勉強も一所懸命する
・勉強しながら、現地の就職情報サイトを常にチェックし、ブリッジSEの募集状況を把握する。
(セブの学校の例)
・Kredo(ITと英語の学校)
・NexSeed(ITと英語の学校)
2.現地のオフショア開発ベンチャーに就職する
・現地の就職情報サイトを確認し、応募する。面接を経て就職する。
→かなりの確率でブリッジSEの募集がある。なければ直接会社宛てメールで応募する。
(例:セブのJobpot、など各国の現地就職情報サイトを確認する)
※日本大手企業の現地子会社への就職は難しい。
※大手外資系IT企業(例:アクセンチュア、など)の現地子会社は現在就職は難しくない(あまりおススメしないが)
3.ブリッジSEをやりながらシステム開発の経験を積む・勉強する
・プログラミングの勉強・実務経験
・システム開発の勉強・実務経験
(標準化や進捗・品質・顧客など各種管理も合わせて)
【ポイント】
・開発実務経験がないので、そのままでは将来性に欠ける
→ベンチャー時代に開発実務の勉強・経験をすることが重要
→日本に帰国して、IT企業で経験を積むのも手である
・王道でブリッジSEになる方法
1.プログラミング・スクールに通ってプログラミングの勉強をする
(または独学でプログラミングを学ぶ)
【お勧めスクール3校】
TechAcademy 無料体験
受講者満足度90%以上のプログラミングスクール【DMM WEBCAMP】
2.IT企業に就職する(この間にIT技術と語学力の向上を図る)
※スクールに通わず、直接IT企業に就職できればそのうほうが良い。
・就職情報誌や就職エージェントを使い倒そう!
・スクールの就職保証コースをとるのもあり。
3.海外のブリッジSEに転職する
「5.ブリッジSEになる方法(必要なスキルあり)」参照
日本のIT企業で実務経験を積めば転職は難しくないでしょう。
【ポイント】
ポジションも高く将来性もある
まとめ
さて皆さん、いかがでしたか?
「【徹底解説!】ブリッジSEってなに?仕事内容や必要なスキル、ブリッジSEになる方法までを解説」をご紹介しました。これから仕事としての「ブリッジSE」を検討する上での参考になったでしょうか。
現在はコロナ禍で海外に行くことは非常に制限を受けていますが、このような状況下でもオフショア開発は粛々と続けられています。
日本でのリモートワークと同じように海外でのリモート開発が行われています。これらの開発を支えているのが「ブリッジSE」です。今も海外在住で頑張っている人や、日本からリモートワークを行うなど様々です。
今後ともグローバル化の進展により、海外エンジニアとの協業はどんどん進みます。ブリッジSEとしての役割も今後増していくことが予想されます。
ぜひ、ブリッジSEを目指してはいかがでしょうか!
では、明るく、楽しく、前向きに、毎日をお過ごしください。
コメント