・サイドマウント・ダイビング 器材コンフィグレーションの概要
今回はサイドマウント・ダイビング用器材のコンフィグレーションの紹介です。
前回の記事で購入する器材の説明をしましたが、今回はそれをどのように組み立てるか、ということです。ただ買ってくればそのまま使えるということではなく、いろいろ手作り感満載かつ繊細さが必要な作業になります。新規のコンフィグレーション作業は丸一日の作業でした。
概要だけでもご理解いただければ幸いです。
購入する器材については、こちらの記事をご参照ください。
サイドマウントでのコンフィグレーションとは
サイドマウントでは器材のコンフィグレーションがとても大事です。なぜなら、サイドマウントでは各個人専用にカスタマイズしてジャストフィットさせなければならないからです。
コンフィグレーション(configuration)とは「配置」や「機器構成、設定」という意味ですが、テクニカル・ダイビングの世界では器材のセッティング/構成全般を指すようです。
最初は何?と思っていましたが、実際自分の器材のコンフィグレーシを体験すると、本当にオーダーメイドのセッティングということを実感しました。
いくら器材が良くてもコンフィグレーションが不適切であると、ダイビングがしにくいだけでなく、危険になることもあるようです。そのため、適切な器材コンフィグレーションを設定するだけでなく、コンフィグレーションを理解することは非常に大切と言われています。
はっきり言って、新品器材のコンフィグレーションは本当に大変でした!構造もそれなり?に理解できました。
各機材のコンフィグレーション
レギュレーター
最初はまず、レギュレーターの組み立てからです。
サイドマウントでは2つのレギュレーターを使用します。プライマリーとセカンダリーで明確に分かれています。
また、規格はDIN規格のねじ込むタイプとなり、一般的なヨーク規格とは違います。
・プライマリー・レギュレーター
プライマリーのレギュレーターは必ず左側のタンクに付けます。ホースは短く首に巻いてバンジー(ゴム)で首からつるします。中圧ホースが付くのでインフレーター・ホースと繋ぐことになります。
調整のポイントは以下の5点。
1.自分の首の長さに合わせてホースの長さを変えます。私の場合は45cmの短いホースを購入してデフォルトのホースと変えました。
2.次はセカンドステージとホースの間に90度に曲がるコネクターを挟んで、直角に曲げることです。そのため分解して取り付ける必要があります。
3.残圧計を取り付けます。バックマウントと違ってホースは短いです(別途購入が必要)。
4.セカンドステージに首から吊るすためのバンジーを取り付けます。
5.場合によっては中圧ホースの長さも変更する必要があります。インフレーター・ホースが長くて変更しなければならない場合にそうなる可能性があります。このへんは実際に調整してみてですね。
(注)私の場合はインフレーター・ホースは10cm短くしましたが、中圧ホースはデフォルトのままでOKでした。
・Spro G260です
・90度コネクター 種類はいろいろある
・バンジーは結束帯を使って留める
・中圧ホースの長さは使う人の体に合わせる
・プライマリーが完成!
(その他の点)
ファースト・ステージ付属のキャップは外れやすく、操作の邪魔になるのでレギュレーター・キャップに変更するよう言われ変更しました。
・こちらのねじ込み式キャップに変更(値段結構高い!(泣))
ファースト・ステージ(S-pro MK25,DIN規格)
セカンド・ステージ(S-Pro G260)
ショートホース(※自分に合わせる)
直角コネクター
バンジー(首からつる)
中圧ホース(※自分に合わせる)※BCD付属品
PG(残圧計,S-Pro)
レギュレーター・キャップ(別途購入)
・セカンダリー・レギュレーター
セカンダリーのレギュレーターは必ず右側のタンクに付けます。ホースは長くタンクに1巻きさせてから首に巻きます。バディーに空気をあげるときに、長いホースを引っ張りだして使います。
調整のポイントは以下の3点。
1.7フィートのホースに付け替えます。長さは決まっているようですが、かなり長いです。
2.残圧計を取り付けます。バックマウントと違ってホースは短いです(別途購入が必要)。
3.セカンド・ステージを吊り下げるためのボルトスナップを取り付けます。取り外しは頻繁に行うので、ボルトスナップはスムーズな動きのものが必須です。
※90度に曲がるコネクターを取り付ける場合もあるようです。
確かに、咥えていた歯茎が痛くなりました。。。
・ボルトスナップはOリングに引っ掛ける
・セカンダリーが完成!
ファースト・ステージ(S-pro MK25,DIN規格)
セカンド・ステージ(S-pro G260)
ロングホース(別途購入)
ボルトスナップ(小)
PG(残圧計,S-Pro)
レギュレーター・キャップ(別途購入)
タンク(シリンダー)
サイドマウントではタンクを同時に2本使用します。特徴的なのは、プライマリー側(左側)のタンクのバルブのハンドルが通常と逆になります。つまり、左右のタンクともハンドルは外向きになります。
また、レギュレーター・セットの場合、バルブは手前(自分側)に来るようにします。必ずプライマリーが左側になります。
素材はアルミが一般的なようです。セブでは全てアルミ素材のタンクです。
・プライマリー・タンク
左側のタンク。通常とハンドルの位置が逆になります。
調整のポイントは以下の4点。
1.ボルトスナップに固定用のひもを結びます。あまり長くしないのがポイント。
2.自分の身長などに合わせてボルトスナップを留めるためのステンレスバンドを取り付けます。マイナスドライバーで簡単に締めることが可能です。
私の場合はタンクのハンドル最上部からステンレスバンドの下まで「54cm」にしました。最終的な長さは実際に泳いで位置を決めます。なお、タンクの長さが変わる場合もあるので、ハンドルから計測するのが鉄則のようです(下からはダメ)。
3.ボルトスナップの位置決めをします。
通常、タンクの上部から見て、ハンドルの反対側の突起(を含め)から、外側に向かって指三本の位置にセットします。
私の場合は体が細いので、指4本の位置にセットしました。
※遠くにセットするとそれだけタンクが体に引き寄せられる。
4.ゴムバンドをタンクの上部に巻きます。
これは、レギュレーターをセットするときに短いホースを留めておくものです。
なお、レギュレーターをセットするときは、バンジーでレギュレーターをタンクのハンドルに留めます。
・ボルトスナップを紐で結ぶ
・タンクのステンレス・リングに紐を挟む
ステンレスバンド
ゴムバンド(大)x1
ボルトスナップ(大)
ボルトスナップ固定ひも
・セカンダリー・タンク
基本的にプライマリー・タンクの場合と同じです。
ボルトスナップの位置決めの方向が、プライマリーと逆方向になること、ゴムバンドが2本になることが違います。
セカンダリー・レギュレーターのホースが長いため、2本のゴムバンドが必要になります。
1点追加で必要なことは、バルブの根本付近に紐を着けて、ボルトスナップで簡単に取り外しができるようにします。
持ち運びの時にセカンドステージが固定されてグッドです。
ステンレスバンド
ゴムバンド(大)x2
ボルトスナップ(大)
ボルトスナップ固定ひも
ゴム紐
BCD(ハーネス&ブラダー)
(Razor Side Mount System 2.5 Complete-BLACK EDITION)
購入した状態では、ハーネス(骨組み)とBCD本体(エイのような形の空気袋(ブラダー))と金具がバラバラでとんでもない状態になっていました。
はっきり言って、素人に組み立ては無理です。ここで具体的な説明もできません。必ずお店の人か専門家に任せましょう。
ただ、組み立てに際していろいろな調整が必要になってきます。これらの調整は実際にダイビングをしながら徐々に調整の精度を上げていきます。
私の場合も3日間の海洋実習中に何度も調整してもらいました。たぶんこれから具合が悪ければ自分で調整することになると思います。
以下、実際に調整したポイントを記載します。
ハーネスの調整
まずは、ハーネスの調整です。
組み立ては素人はまず無理、お店の人かインストラクターに任せましょう。
(私は全部インストラクターにやってもらいました。。。)
ハーネスの完成形の写真を載せておきます。
・正面です
・横です
・後ろです
ブラダーを体にフィットさせるバンジー
右上側からのバンジーにフックがついていて、ベルトの間を通して左側からの輪っかのバンジーに留めるようになります。
かなりきつくフィットするように調整しています。く、苦しい。。。
タンクを留めるバンジー
ブラダー本体から左右のわきの下に出てくるバンジーです。これをタンクに外側から引っ掛けてタンクを固定します。
デフォルトで付いていたバンジーが固すぎて大変なため、やや緩いバンジーと交換しました。もちろん長さも丁度良い力加減になるように調整しました。
胸のDリングの位置
胸のDリングの位置にタンクのバルブがくっついてくるので、位置を上げました。
元のままだとセカンドステージのフックを留めたり、ポーチを留めたりするのが困難になったからです。それでも結構きついですけど。
腰のDリングの位置
腰のDリングは左右に2つづあります。
これは、タンクの空気が少なくなったら、前側に移動させるためです。一応目安は150barになったら後ろから前に移動させます。
このDリングの位置は実際にダイビングをして、タンクの位置などを確認してもらいながら位置を調整しました。初心者にはどの辺が良いかよくわかりません。
ウェイト
サイドマウントの場合、ウェイトは固定になります。
いろいろな取り付け方があるようですが、私の場合はBCDに付属のウェイト留めで腰の後ろの位置に取り付けました。
ハーネスにビスで留めているため簡単に取り外しができず、持ち運びが滅茶苦茶重いです。
インフレーター・ホース(※自分に合わせる)
インフレーターホースは長すぎたので短いホースに交換しました。
デフォルトは50cmでしたが、40.6cmのホースに交換。結構ピチピチなのですが、これくらいが良いのだ、ということらしいです。
幸い中圧ホースには影響しなかったので助かりました。
バックアップ・ブラダー(空気袋)のホース
長くて邪魔になるということで短く切断しました。
予備の空気袋があることも知りませんでした。
・BCD全体(正面)
・BCD裏側
・BCD上部
・BCD下部(ウェイト)
そのほか器材で気をつけたいこと
1)マスク
スノーケルは付けません。レギュレーターホースが首に巻かれるため邪魔になるからです。
2)フィン
軽めのタイプがベストと言われています。
私は通常ジェット・フィンを使っていますが、今回プラスチック製のものに変更しました。
(Mares社:New Mares Avanti Quattro)
3)グローブ
薄手のグローブを使うことをおすすめします。
バンジーを強く引っ張ったり、ボルトスナップが滑るので強く持ったりして指を怪我します。3日間の海洋実習で実際私は右親指を2箇所切っただけでなく、両手指が腫れあがってしましました(右手指の腫れがヒドイ)。グローブの使用でかなり軽減できると思います。
※グローブ禁止の海域もあるので、持ってはいるものの通常は使っていませんでした。
まとめ
さて皆さん、いかがでしたか?
「サイドマウント・ダイビングの始め方(器材コンフィグレーション編)」をご紹介しました。これからサイドマウント・ダイビングを始める上での参考になったでしょうか。
サイドマウント・ダイビングでは器材のコンフィグレーションはとても大事です。セッティング自体はかなり大変でこまめに調整も必要になってきます。
でも、ビシッと調整が決まれば、非常に楽に流線形がとれ、中性浮力も超簡単の優れもの!こんな世界もあるんだとビックリすることでしょう。
最後に、この記事が皆様のサイドマウント・ダイビングをご理解するうえでの参考になれば幸いです。
では、明るく、楽しく、前向きに、毎日をお過ごしください。
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