・この記事でわかること
・マレーシアのMM2Hビザ、改悪のポイント
・今後の対応についての考察
世界的に見てもありがたい、マレーシアの長期滞在ビザMM2Hの取得条件が改悪されました。
【改悪ポイントのサマリー】※旧条件は50歳未満の場合
・年齢条件:20歳以上 →35歳以上
・有効期間:10年有効 → 5年有効
・月収証明:約25万円 →約100万円
・資産証明:約1,250万円→約3,750万円
・定期預金:約750万円 →約2,500万円
かなりの改悪となっており、『貧乏人は来るな!』、と言わんばかりです。普通の日本人(特に若い人)にはかなり厳しい条件になったと言えるでしょう。
では、詳細を見ていきましょう。
MM2Hビザとは
そもそもMM2Hビザ(マレーシア・マイ・セカンドホームの略)とは何?という話を最初にしたいと思います。
※ご存知の方は第2章へ飛んでください。
MM2Hビザの特徴(従来の条件)
従来のMM2Hビザは、世界的に稀に見る使い勝手の良い長期滞在ビザでした。主な特徴は以下のとおり。
・20歳から取得可能
・ビザの有効期間が10年
・収入や預託金の条件があまり厳しくない
・滞在義務はない
・就業が可能(重要!)
これらの特徴から東南アジアへの移住希望者には人気のビザになっていました。
日本も例外ではなく、MM2Hビザ取得者数の各国別ランキングで日本が第2位になっています。英語教育のために親子で移住というのが最近の流行りのようです。
(私はあまり賛成できませんが。。。)
MM2Hビザと他国の居住ビザの比較
MM2Hビザに近いビザは、東南アジアの各国ではリタイヤメントビザとして発行されているのが通常です。
代表的なビザは以下となります。(概要のみ記載)
【タイ】
・ノンイミグラントOビザ
年齢制限:50歳以上
有効期限:1年。更新可能
取得条件:預託金 約280万円
【フィリピン】
・SRRV(リタイヤメントビザ)
年齢制限:35歳以上(見直し中!)
有効期限;1~3年。更新可能
取得条件:預託金 US2万ドル
・ASRV(APECO特別永住権)
年齢制限:なし
有効期限;5年。更新可能
取得条件:手数料(US4万8千ドル)
【インドネシア】
・KITAS(リタイヤメントビザ)
年齢制限:55歳以上
有効期限;1年。更新可能
取得条件:一定収入、など
【カンボジア】
・ERビザ
年齢制限:55歳以上
有効期限;1年。更新不可、再取得可
取得条件:年齢のみ
【詳細はこちらを参照ください】
MM2Hビザに適する人とは?
それでは、MM2Hビザに適する人はどんな人たちなのでしょうか。
それは、リタイヤ後ではなく現役世代でマレーシアに移住したい人達に都合がよいということです。
先ほども書いた、親子留学とか、フリーランスでリモートで働ける、マレーシアでビジネスをしたい、などなどです。
もちろん、リタイヤ世代の方々がMM2Hビザを取得するのもありでしょう。ただ、マレーシアの場合はビザなしで90日間滞在できるので、観光や避寒目的などであればビザなしのロングステイで十分な気もします。特に日本に拠点があれば、何かあった場合の安心感が違います。
今回のMM2H改悪のポイント
それでは今回の主要観点である、MM2H改悪のポイントを見ていきましょう。
なぜMM2Hは改悪されたのか?
まず、なぜこの時期に改悪されたのか、ということです。
それはずばり、中国人(大陸人)の急激な増加です。
MM2Hビザの取得国別に見ると、中国がダントツの1位です。
もともとマレーシアは多民族国家で、マレー人、華人、インド人(タミル系)の混合国家です。マレー人が人口の6割以上を占めていますが、ご多分に漏れず経済は華人が握っています。そのため、マレー人優遇策をとっていますが、状況は芳しくなく華人に対する風当たりは強いものがあります。
このような状況の中、大陸から中国人が大挙して押し寄せ、マレー人が危機感を抱いたというのがもっぱらの評判です。20歳から取得できるので、働き盛りの若者が流入し、おっとりマレー人の仕事を奪うというのも想像に難くありません。
また海外に出る中国人は、内地で食い詰めた人たちなので気性の荒い人たちも多いようです。
実はフィリピンも全く同じことが発生しています。フィリピンのリタイヤメント・ビザであるSRRVの取得は35歳から可能なため(就業も可能)、中国人の取得が急増してフィリピン内に中国人があふれ出す現象が発生していました(コロナ前。特にマニラ、セブ)。そのため管轄省庁のPRAが現在取得年齢の引き上げを検討をする事態になっています。(注:現在はコロナ禍の為、新規SRRVの受付は停止中)
結局、割を食ったのは、日本を含む他国の移住者たちということでしょうか。
でも、その他の国からの移住もあまり裕福でない人達の移住が増えている、という話も結構聞きます。このことも改悪に関係するのかも知れませんね。実際のところは良く分かりませんが。。。
MM2H改悪のポイント
それでは、MM2H改悪のポイントを詳細に見ていきましょう。
ポイントは以下の2点でしょう。
●月収証明:100万円
●定期預金:2,500万円
日本人の若い人達でこの基準を満たせる人はかなり少ないと思います。(まあ、裏ではいろい回避策が出てくるとは思いますが)
こんなに裕福(仕事が順調)ならわざわざ日本を出ないでしょう。。。
逆に高所得者で奥さんと子供だけマレーシアに住まわせたいという方には影響なしですね。
具体的な取得条件の新旧の比較をしてみたいと思います。
【MM2H新旧詳細比較表】
取得条件 | 新規条件 | 旧条件(50歳未満) | 旧条件(50歳以上) | 備 考 |
---|---|---|---|---|
年齢条件 | 35歳以上 | 20歳以上 | なし | 引上げ |
受入上限 | 人口の1% | なし | なし | 新規条件 |
滞在義務 | 90日間 | なし | なし | 50歳以下 |
有効期限 | 5年 | 10年 | 10年 | 期間短縮 |
月収証明 | 約100万円 | 約25万円 | 約25万円 | 大幅増額 |
資産証明 | 約3,750万円 | 約1,250万円 | 約 875万円 | 大幅増額 |
定期預金 | 約2,500万円 | 約 750万円 | 約 375万円 | 大幅増額 |
手続費用 | 約12.5万円 | なし | なし | 新規条件 |
ビザ発給費 | 約12,500円 | 約 2,250円 | 約 2,250円 | やや増額 |
総費用額 | 約2,500万円 | 約 750円 | 約 375円 | 激増! |
なかなか厳しいものがあります。
今後の対応についての考察
マレーシア政府の今後に期待する
まずは、マレーシア政府に期待するということです。
一旦はビザの取得条件を変更はてみたものの、マレーシア政府内部でもいろいろ議論があるようです、
そのため、今後取得条件が緩和されるのではないかというのが、もっぱらの噂です。
ただ噂なので、今後の状況を静観するしかないというのが実情です。
他のアジア各国や、日本国内の移住を考える
次は、他のアジア各国や、日本国内の移住を考える、ということです。
先の章でも出しましたが、タイ、フィリピン、インドネシア、カンボジアなどなど、マレーシアに引けをとらない海外移住先が待っています。
また、コロナ禍でクローズアップされたリモートワークで、大都市に居なくても仕事ができることが実証されました。つまり、国内の地方に移住するバリアが低くなったということです。
事実、若い人達の地方への移住の問い合わせがすごく増えているということです。地方への移住は今後のトレンドになると言えそうです。
まあ、ジジババは海外移住やロングステイのほうが合っていると思いますが(田舎は近所付き合いが大変と言われています)。
長期移住ではなくロングステイにする
どうしてもマレーシアに移住したいというシニアには、ロングステイという手があります。
マレーシアはビザ無しで90日間滞在できます。(実際90日間同じところに滞在したら飽きますよ!)
これってなかなか無い特典です。つまり、寒い冬や花粉の時期だけマレーシアでロングステイして、残りの時期は日本の自分の家で過ごす。これって最高じゃないですか。
若い人はともかく、シニアであれば完全移住ではなく、ロングステイが健康面から見てもベストチョイスではないかと思われます。
※医療はやはり日本が最高!
まとめ
さて皆さん、いかがでしたか?
「【悲報!】もうマレーシアには住めない? MM2Hビザ改悪にどう対処するか?」をご紹介しました。これから海外移住を考える上での参考になったでしょうか。
シニアにとって南国で過ごすというのはとても気分がよいものです。
それも、慌ただしく過ごすのではなく、長期間ゆったり過ごして好きな事をする、これこそ今まで自分を犠牲にして粉骨砕身働いた「ご褒美」ではないでしょうか。
嫌な客、とんでもない上司、いろんな人がいました。ほとんど鬱状態で仕事をしていたあなた、リタイヤしたら南国でのんびりしましょう。
今まで頑張ったのだから、バチはあたりませんよ!
でも、どうしてもマレーシアにこだわりのあるかたは、地球の歩き方を読み込んで研究しましょう!
現在はコロナ禍で海外にはなかなか行けませんが、エアー旅行(机上の旅行)も結構楽しいものです、きっと、良い思い付きがあるかもしれません。なんせタダですし。。。
では、明るく、楽しく、前向きに、毎日をお過ごしください。
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